仮題

浅いオタクの戯言

閃光のハサウェイ@ドルビーシネマ感想

丸の内ピカデリーでの上映終了前日に間に合ったので行ってきました。この作品自体は非ドルビー映画館で1回、自宅でBDを1〜2回視聴したのですが今回もまた色々新たに気づいた点がありました。

ドルビーシネマ自体が初めての体験だったので非常に期待して行ったのですが、どんな物だったのか感想を書き留めて置きたいと思います。


・概説
正直に言って…ちょっと期待し過ぎたかなという思いはあります。というのも行く前からブログやらtwitterやらでドルビーシネマがいかに凄いか、という言説を見ててっきり「今までの映画とは全く違う、VRのような新しい映像体験が出来る!」類のモノかと思ってたので…
実際はそうではなく、むしろ「既存の映画というフォーマットを更に拡張・発展させた」物だと思って見に行った方が良いかと思います。
ただ非ドルビーとの差額(500円?)分の価値が無いかというとそういう訳では無く、まあ500円なら払っても良いかなと思わせてくれるだけの物ではあると思います。


・映像
黒が黒い!
もうただただこれに尽きます。

照明が落ちて画面が暗転した瞬間にあれっと思ったのが、目の前にあるはずの手が見えない!
普通の映画館であればスクリーンが真っ暗でもわずかに薄く光ってるので何となく館内の様子が伺えると思うのですが、それが一切無いです。

まるで初めて有機ELを見た時の衝撃というか、これが有機ELやVAだとすれば今まで見て来た映画館はIPSはおろかTNパネルだったのではないか、と思う程。

暗闇がきちんと黒く描かれるというのは、夜間の市街戦然り高高度での空中受領然り何かと暗い場面での戦闘シーンが多い本作においては特に効果的で、夜間にビームの光の照り返しを受けて浮かび上がるMSの描写などはまさにドルビーシネマの面目躍如、と言った所では無いでしょうか。

ただ巷間言われている様に、暗い場面での見にくさというのは確かにありました。
一番顕著だったのがガウマン機撃破後、やって来たケネスとハサウェイが会話するシーン。
ハサウェイの顔が黒塗りになる前から既に暗くて顔が見づらい…
でも確かに照明もない夜の公園の明るさってあんなもんだろ、と言われればそれはそうなので制作側が狙ってやってる物なのかな…と。細かい部分のチェックしたい人はBD買っておうちでね!という事なのか…?


・音響
ほぼ既存の映画の上位互換と言っていい出来だった映像と違って所々引っ掛かったのが音響面。
確かにドルビーシネマの音響は凄いです。
「360°のサラウンドシステムで包み込まれるような音響」というのは一遍の偽りなく、確かにその場にいるかの様なリアリティのある音を聞かせてくれます。
これが良い方に作用するとハウンゼン機内のざわめきや、空港ロビーに響く航空機のエンジン音といった環境音が圧倒的なリアリティを持って響きますし、「やっちゃいなよ」の台詞や空中受領時にハサウェイがシートベルトを外すSEなど、今まで見えなかった細かい音まで見える様になるなど多くの恩恵がありました。

しかし逆に”リアリティがあり過ぎる"事が悪い方に働いてしまった場面もいくつかありました。
特に気になったのはハサウェイの出撃前、ロッカールームでイラムと会話するシーン。恐らく空調の音と思われるブーンという重低音が劇場内右前上方から響いた時、最初に思ったのは(この劇場の空調うるせぇな)
その後左の同じ辺りからスクランブルの警報音が流れてようやく作品内のSEだと気づいたのですが、どうにも作品世界から現実に引き戻されてしまった感は否めず…

これはあくまでも一例ですが、余りにもリアルで完全にその場に存在しているかのように聞こえる3Dの音響と、2Dでスクリーン内に展開される作品世界のビジュアルとのリアリティのズレが違和感を生じさせているように感じました。

(思うにドルビーオーディオは確かに音のリアリティをめちゃめちゃ感じる設備ではあるけれど、それはどちらかというとVRヘッドセットを被ってる時とかに威力を発揮するものであって2Dの映画、ましてアニメ調のものとだとあんまり相性が良くないんじゃないのかなぁ…という気が)

後これは完全に個人の感想ですが、エンドロールで流れるメインテーマ「閃光」。ドルビーオーディオを謳うからにはとんでもない高音質で聴けるのかと期待していたのですが…
はっきり言ってDAC-01やDX160に挿したT5p2ndで聴いたほうが音質は良かったような。もちろん音圧や音量という点では圧倒的に劇場の音響の方が優れていますし、映画館の音響設備と音楽視聴用のヘッドホンでは目的が違うのでそもそも比べるのが間違ってるという事なのかもしれません。
耳で聴くんじゃない!体で聴くんだ!!!…的な?


丸の内ピカデリーについて
スクリーンは特別大きくはない(むしろ小さめ?)
→これでもドルビーシネマの中では最大らしいので音響とかの問題でハコのサイズに制約があるのか?
スクリーン位置は高め
→J列でも目の高さがスクリーン下1/4位、多分最後列でようやく水平くらい?
 今回はあまり見上げたくなかったのでJ列を指定したがスクリーンの大きさを考えるともう少し前のG,H列でも良かったか?
後方三列を除けば座席の傾斜が急
→前の席の人間の頭が邪魔になる事はまず無い
上映前の廊下がクソ寒い&ロビーに座れる場所がほぼ無い
→あんまり早く行っても…ね


・最後に
ここまで色々とぐちぐちと書いてきましたが、正直自分が行く前から期待値を上げ過ぎた事による所が大だったと思っています。
ドルビーシネマによる映画体験は確かにここでしか味わえないものですし、音響はともかく画質は映像に関しては間違いなく通常版より美しい物が楽しめるので是非多くの方に見て頂きたいです。